不正アクセスが増える今、個人ができるサイバーセキュリティ対策

「自分には、盗まれるような情報はない」
「セキュリティは、会社の担当者に任せている」

そんなふうに感じていても、メール、ネットショッピング、SNS、銀行や証券の取引など、私たちの日常には多くのログインの機会があります。一つのアカウントが乗っ取られるだけで、お金や個人情報だけでなく、家族や職場とのつながりまで悪用されるおそれがあります。

今回は、一人ひとりが今日からできるサイバーセキュリティ対策を紹介します。

不正アクセスは、身近なサービスで起きている

2026年3月に公表された警察庁等の資料によると、2025年の不正アクセス行為の認知件数は7,190件。前年の5,358件から約34.2%増加しました。
不正アクセス後の行為では、インターネットバンキングでの不正送金等や、証券会社のインターネット取引サービスでの不正取引等が多くを占めています。
これは警察が認知した行為の件数であり、攻撃の試行回数や被害者数を示すものではありません。
出典:警察庁等「不正アクセス行為の発生状況」

企業のシステムだけでなく、私たちが普段使っているサービスも対策が必要です。
大切なのは、攻撃者に利用される隙を、日々の設定や習慣から減らすことです。

今日からできる、5つの行動

1.認証を強くする

まず確認したいのは、メールや金融サービスなど、大切なアカウントの認証設定です。
多要素認証を有効にして、パスワードだけに頼らない仕組みにしましょう。
多要素認証とは、パスワードに加え、手元の端末など別の要素を使って本人を確認する方法です。
参考:IPA「不正ログイン対策特集ページ」

対応するサービスでは、偽サイトでの認証情報の詐取に強い「パスキー」の利用も検討してください。
ただし、どの方法でも安全が保証されるわけではありません。
身に覚えのない認証通知を承認しないことや、端末を適切に管理することも大切です。
参考:Okta「パスキーによるフィッシング耐性の向上」

2.パスワードを使い回さない

同じパスワードを複数のサービスで使っていると、一つのサービスから漏れた情報で、別のサービスへのログインも試されるおそれがあります。
サービスごとに異なる、長いパスワードを設定しましょう。
参考:IPA「不正ログイン対策特集ページ」

すべてを自分で覚える必要はありません。パスワードマネージャーを使い、自動生成したパスワードを保存する方法もあります。
仕事で利用する場合は、会社が認めた管理方法を確認してください。

3.急がせる連絡ほど、一呼吸置く

「アカウントを停止します」「支払いに失敗しました」「至急、確認してください」。
そんなメールやSMSが届くと、すぐに対応したくなるものです。

しかし、表示された会社名や文章が自然でも、本物とは限りません。
本文のリンクからログインせず、いつも使っている公式アプリや、あらかじめ登録したブックマークから状況を確認しましょう。
連絡先を確かめる場合も、届いたメッセージに書かれた電話番号をそのまま使わないことが大切です。

認証コードを他人に教えたり、依頼されたからという理由で認証を承認したりしないことも、アカウントを守る行動です。
参考:IPA「インターネットサービスへの不正ログインによる被害が増加中」

4.更新を後回しにしない

スマートフォンやパソコンの更新通知を、「あとで」と閉じたままにしていないでしょうか。

更新には、新しい機能を追加するだけでなく、攻撃に利用される弱点を修正する役割があります。
OS、ブラウザー、アプリの自動更新を確認し、必要な再起動まで済ませましょう。
家庭のWi-Fiルーターも確認の対象です。
仕事用の端末は、会社の運用ルールに従って更新してください。
参考:警視庁「OSやソフトウェアの対策」

5.迷ったら操作を止め、早く相談する

不審なサイトにパスワードを入力してしまった。身に覚えのない購入やログインに気づいた。
そんなときは、一人で抱え込まず、早めに相談してください。

個人のアカウントであれば、公式アプリや正規のサイトから速やかにパスワードを変更し、同じパスワードを使っていた他のサービスも変更します。
カード情報を入力した場合や、不正な取引がある場合は、カード会社や金融機関の公式窓口へすぐに連絡しましょう。
参考:警察庁「フィッシング対策」

仕事に関係する場合は、会社の窓口へ直ちに報告し、指示に従ってください。
不審な画面やメッセージは記録し、自己判断で端末を初期化する前に相談することが大切です。

個人の備えが、家族や職場の信頼につながる

自分のアカウントを守ることは、自分だけを守ることではありません。
乗っ取られたアカウントが、家族や同僚、取引先をだます連絡に使われる可能性もあります。

だからこそ、個人の設定や習慣と、組織の仕組みをつなげて考える必要があります。
会社が安全な認証や相談窓口を整え、一人ひとりがそれを使える状態にする。
気づいたことを早く共有できる職場をつくる。それが、安心してITやAIを活用する土台になります。

まずは今日、大切なアカウントの認証設定を一つ確認してみてください。


統計・参考情報確認日:2026年10月22日。

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